一文マーケティング

彼女お勧めの、ドライカレーの店に向かう。

ドライカレーとは珍しい。普段食べない料理だ。食べログのレビューを読んで、どうしても食べたくなったらしい。

店のある地元歓楽街へ。普段ならあまり来ないところだ。歓楽街を入って10メートルほど。わかりづらい場所に店はあった。入口にワープロで書かれたメニューと、商品写真が貼ってある。冴えない印象だ。覗いてみると、金曜の夕方なのに客はいない。コロナの影響もあるのだろう。

店内に入り、ドライカレーを2つテイクアウトで注文する。店員の対応はとても丁寧だ。入口左に本棚があり、古いマンガの単行本が収まっている。懐かしい。昭和の食堂のよう。店内は、外から想像するより明るい。見渡すと、清掃が行き届いていることに気づく。椅子に座って待つのが申し訳ないくらい。

袋に入れてくれた料理を受け取り、外へ。私たちが今日最初の客、下手すれば唯一の客かも。気になり、彼女に聞いてみる。どれほどの人気店なのか。食べログの評価はどの程度なのか。

「来たのは今日が初めて。人気なんて知らない」。
そして、
「読んだレビューは1つだけ」
と彼女。

1文だけで食べさせる。どれほどの名文だったのだろうか。

帰宅して、ドライカレーをいただく。ライスの上一面に敷き詰められた挽肉。中央のパルメザンチーズの黄色いライン。店員の対応同様、丁寧に作られている。食べてみると、味がまろやかで、美味しい。量が多いのに、食後の胃もたれも無い。油を抑えているようだ。ありがたい。

店の外観とは、対照的な料理の味。是非応援したい。2つ目となるレビューを投稿するとしよう。

さて。前作を超える文章がかけるかどうか。