診察30秒でも「対面診療」を選ぶ理由

少し遠い病院に、月1回通院している。

「なにかありましたか」
「いいえ」
「前回の検査は異常なしです」
「はい」
「いまのお薬を続けてください」
「はい」
「次回も一か月後で良いですか」
「はい」

診察はこの程度。3分どころか、30秒診療だ。文字数72文字。ツイッターの約半分しかない。医療関係の知人に話すと

「オンライン診療で十分なのでは?」

と言われた。

そこで、かかりつけ医のホームページを見てみると、あるある。

その名も、“スマート診療”。

スマートフォン・タブレット・パソコンで利用可能。診察・処方箋発行・会計決済まで、オンラインで完結。待ち時間なし。おぉ素晴らしい。

さらに、詳細を見てみる。

「回線使用料(税込) として、1,500円いただきます」

(おっと)割高になるではないか。しかも、

「検査(採血・採尿)を行わない患者のみ」

ともある。隔月で検査している私は、2回に1回しか対象にならない。

処方箋は郵送されるとのこと。だが、自宅近隣の薬局に聞くと、該当の薬の在庫は「無し」。門前病院以外の薬は、あまり置かないらしい。結局、かかりつけ医近所の薬局まで行く必要がある。処方箋ではなく、薬自体を送って欲しいところだ。

料金が高くて、面倒くさい。結局

「これまで通りでいいや」

と、保守的な結論に落ち着く。

オンライン診療が普及しない、との報道がある。

数百円高くなるとか、手間がかかるとか。こういった些末なことも、普及を阻む要因なのだろう。

関連記事:普及しないオンライン診療①:誤診を恐れる医師

 

 

怖くて辛いワクチン接種

コロナワクチン接種前夜。

ソワソワ。なんだか落ち着かない。なんだろう?この気分…。ああ、わかった。

怖いのだ。

注射そのものが怖いわけではない。

月1回の血液検査。年1回のインフルエンザワクチン。数年に1回の胃カメラ筋肉注射。注射慣れしている方だと思う。ちっとも怖くない。

集団接種が怖いのだ。

集団接種。思えば小学生以来ではないか。お医者さんの前に行列を作り待つ。すると、見えるのだよ。前方で注射される同級生が。痛みに歪むその顔が。それを見ながら、自分の「痛み」の順番を待つ。いわばホラー映画の予告編だ。ホラー映画は予告編が一番怖いのだよ。あぁ嫌だなぁ。

接種当日。

想像に反して、一人づつブースに通されての接種だった。なんだ。いつもの注射と変わらないではないか。拍子抜けである。

「チクッとしますよー」

針が刺さったその瞬間。

(あ。これは腫れるな)

案の定、その夜から肩が動かしづらくなる。これがモデルナアームというやつか。風邪を引いた時の「節々の痛み」のほうが近い。

その翌晩。

風邪の症状は「アーム」どころか全身に広がってきた。発熱である。

上述の「集団接種」ほどではないが、発熱しなくなって久しい。5年ぶりぐらいか。わけあって、ここ数年風邪を引くわけにいかなかった。そのため、コロナと同等の対策を、コロナ禍以前から行っていた。その甲斐あって数年間風邪知らず。当然、発熱も無し。発熱に対する耐性が全くない。だから

辛いのだ。

38度弱の発熱が一晩。数年ぶりに氷枕や保冷剤をフル活用した。翌日の昼に、ようやく36度台まで熱が下がった。熱が下がると、なんとなくデトックスされたような。この感覚も久しぶりである。

怖くて、辛い。

コロナのおかげで、なんとも懐かしい感覚を味わうことになった。2回目は来月か。もうやだなぁ。