TPO

先日、テレビをつけると八甲田山遭難のドキュメンタリー番組を放送していた。
全く興味が無かったのだが、つい最後まで見てしまった。
とてもわかりやすかったからである。
その理由は、ゲリラ豪雪、パウダースノー、ホワイトアウトなどなじみのある「単語」で説明されていたからだ。

八甲田山遭難は今から120年近く前の古い話である。
当然、使われている単語も古めかしくわかりにくいものだ。
それらを、この番組ではすべてわかりやすく置き換えていた。
たとえば
「局地的豪雪に見舞われたうえ、粉雪だったため脚が埋まってしまった。その後猛吹雪で目的地が見えなくなった」

「ゲリラ豪雪に見舞わたうえ、パウダースノーだったため脚が埋まってしまった。その後ホワイトアウトで目的地が見えなくなった」
といった具合だ。

馴染みある、カタカナ交じりの単語でぐっと理解しやすくなっていた。

ただ、カタカナ用語がわかりやすいとは限らない。

昨今頻繁に耳にする、オーバーシュートやロックダウン。挙句の果てにはステイホーム。これらはすべてわかりにくい。
素直に、感染爆発・都市封鎖・外出自粛、と言ってもらいたい。防衛大臣のご指摘はもっともである。

使う単語はTPOをわきまえて…といいたいところだがTPOも最近あまり使われない。馴染まないひとも多いかも。そもそも何の略だったか?

仕組みが原因

先日、報道番組でバーテンが
「アルコールが無くて困っている」
と言っていた。
後ろの棚に沢山あるではないか、と思ったが、どうやら消毒用アルコールのことらしい。

確かに、スーパーに行ってみると消毒用アルコールの棚は空っぽ。
一方、酒売り場は商品が所狭しと並んでいる。
酒だけではない。
トイレットペーパーは無いのに、文房具売り場のコピー用紙は潤沢だ。
同じ原料でありながら、最終商品によってあるものと無いものがある。

そこで疑問である。
マスクはどうなのだろう。
マスクの原料は「不織布」である。主にフィルターなどに使われるそうだ。
エアコンのフィルターもさぞ不足していることだろうと思い、エアコン会社の知人に聞いてみると
「いや。全く問題ないですよ」
とのことだった。

首相ですら布マスクしか配れないこの状況にも関わらず、原料は問題なし。
マスク不足も、消毒アルコールやトイレットペーパーと同じ現象だった。

このことからわかるのは、不足の原因は
「資源」があるかないか、
ではなく、
「仕組み」があるかないか、
ということである

世界が鎖国化に向っているような気がする昨今。
せめて、現状の資源を有効活用できる「仕組み」のある国であってほしいものだ。