東洋経済「決算書大解剖」にアウトソーシングしたい

ようやく、東洋経済6月4日号「決算書大解剖」を読む時間ができた。各社が株主総会を行う6月に発行された決算書(=有価証券報告書)を、わかりやすく解説している。

たとえば、セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン)とイオンの比較だ。

「セブンの方が売上は少ないけど、利益は多い」

一言で言うと、こうなる。要因は中核事業の違いだ。セブンの中核事業はコンビニ。イオンはスーパー。コンビニの方がスーパーより儲かる。コンビニを中核に据えているセブンは儲かる。なぜ、コンビニが儲かるか。フランチャイズ展開しているため、ロイヤリティを得ることができるから。わかりやすく、疑問も解消される。良い特集だと思う。

筆者も、企業記事を書くとき、決算書を利用する。利益は増加傾向か、主たる事業は何か、それにどれくらい依存しているか、などを調べる。これが結構面倒くさい。過去データをエクセルに打ち込んだり、同業他社と比較したりで数時間かかることも。

本特集は、そういった箇所をきれいにまとめている。見どころは抽出されてるし、見やすいグラフも作られてる。文章による解説付き。ここまで、アウトソーシングできたら、記事執筆は楽だろうなぁ。

この特集をベースに、少し掘り下げてみよう。

コンビニが儲かるのは、フランチャイズ展開しているから。加盟店が、商品廃棄コストを全て負担する「コンビニ会計」という、特殊なやり方で(多めに)「利益」を算出する。これに一定の率を乗じてロイヤリティを徴収する。加盟店の利益が極端に少なくなるため、批判されることも多い手法だ。

セブンの営業利益の大半(99%)はコンビニが源泉である。特集のグラフによると、売上を占めるのは、国内コンビニが10%ぐらい、海外コンビニが60%ぐらい。国内の方がはるかに少ない。にもかかわらず、営業利益は、国内コンビニが58%、海外コンビニが42%、と国内の方が多い。つまり

「国内コンビニの方が売上は少ないけど、利益は多い」

ということだ。コンビニの主たる営業利益の源泉が「ロイヤリティ」だとすると、

「国内のロイヤリティの方が、海外より高いのではないか」
「日本のコンビニオーナー(加盟店)だけが不利益を被っていないか」

などの仮説を立てることができる。さて、実際はどうか。さぁ調べてみよう…って、なんて楽なんだろう! 記事執筆の「調査」作業の前段はほぼ終わっているではないか。編集担当のいる作家の先生はこんな感じなのかも。

そんな、恵まれた環境とは程遠い、診断士ライターは、コツコツと決算書を眺めるわけです。