経営戦略論の講義を聴く。
イノベーションはS字曲線を描く。
不連続性である。
「例としてレコードからCDへの移行があげられます。」
また懐かしい事例が出てきたものである。
個人的な感覚では
レコード+カセットテープ → CD
が正しいように思う。
年配の方はご存知かと思うが、レコードは静電気ですぐ埃だらけになってしまう。傷も付きやすい。扱いがとても面倒なモノなのだ。
レコードを楽しむには以下の手順を踏む。
1.レコードをジャケットから取り出す
2.スプレーをかけ埃を取る
3.ターンテーブルに載せ
4.慎重にレコードの溝に針を載せる
これでようやく音楽が楽しめる。
しかもCDと違い両面(若者にB面って何ですか?と聞かれてショックだった)に録音されているため、片面(20分程度)聴くと裏返さなければならない。
あぁめんどくさい。
もっともマニアの方々は、この過程をも楽しんでいたように思う。
当時のメーカーもそういった方々をターゲットにしていた。「既存主流顧客の要望」に応えていたわけだ。
一方、われわれ凡人(?)はカセットテープに録音していた。その方が扱いが楽だったし、ウォークマンで聞くこともできる。
だったらレコード自体はいらないんじゃない?そのとおり。原本として保管され、陽の目をみることはほとんどなくなる。
じゃあ買うの勿体無くない?これもそのとおり。仲間内で買ったレコードを貸し借りして録音するようになる。
そんな状況から黎紅堂や友&愛などレコードリース業が誕生する。料金は250円ぐらい。当日返せばもっと安い。「借りてカセットテープに録音」することが多くなり、買うのは気にいったアーティストだけ。私の周辺ではそんな音楽ライフが主流だった。
そこに登場したのがCDである。
我々凡人にとってはまさにうってつけだった。
カセットテープは何回も再生すると音質が劣化してしまう。一方CDは全く劣化せず、しかもレコードと同等の高音質。さらに長寿命!
高価だった当初こそ普及しなかったものの、SONYが安価なCDプレイヤーを発売したのをきっかけに、一気に普及することになる。我々のような「マニアではない」横着なユーザーが目を向け始めたのだ
(この横着なユーザー=我々 が経営戦略論で言う「新規顧客」だったのだろう)。
当初カタログ一冊に収まる程度のタイトル数しかなかったものの、急増しCISCOやタワーレコードなどの輸入レコード屋も扱いはじめた。
このときがまさに「不連続」の時期だったのだろう。
とはいえ欲しかった海外アーティストが簡単に手に入るのはまだ少し先の話だ。