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レコードをレーザーで再生する

laser_turn_table

 

 

CDプレーヤーにドーナツ盤を突っ込むような話だが、実際の商品だ。

5本のレーザー光を溝に当て音を拾う。針では困難だった、傷や反りがあるレコードも再生できる。音質は極めて原音に近い。しかも盤面を傷めない。

基礎技術を開発したのは米国のロバート・ストッダード氏である。日本で発表会を行ったものの、事業パートナーが見つからず。そこで、発表会をコーディネートした千葉三樹氏(エルプ社 代表取締役社長)自身が共同事業者となることを決断する。

音楽がレコードからCDに移行しようとしていた1988年のことである。通常ではありえない判断だ。そこに戦略など無かったのではないだろうか。

だがその判断は正しかった。

今や各国の放送局や図書館が導入し、スティービー・ワンダーやキース・ジャレットなどアーティストからも愛用され、手持ちのレコードをCD化するビジネスまで誕生している。

では早速、子供の頃の雑誌に付いていたソノシートを…え?透明なものは再生できない?
レーザー光線は透過してしまうため、黒色版のレコードしか再生できないらしい。
残念。では手持ちの12インチシングルのCD化をお願いしてみよう。

 

ポイントカードの会計学

yodobashi

今年も残すところあと10日ちょっと。

年賀状用ハガキやらプリンタのインクやら家電量販店に行くことが多くなる時期である。
ポイントカードのお世話になることも多々有り。

さてこのポイントカード、量販店側はどのように処理しているのであろうか?
少し気になって調べてみた。

結果
「我が国においては、ポイントについて個別の会計処理の基準等は存在しておらず…」
基準が無い!

ということで企業それぞれ異なる会計処理を行っているらしい。
普通に考えると
・売上値引
・販売促進費
あたりかと思っていたのだが、実際多く用いられているのもそのパターンであった。

[売上時]
現金 xxxxxx円 / 売上 xxxxxx円

[ポイント使用時]
現金 xxxxxx円 / 売上 xxxxxx円
販売促進費 x円

[期末]
ポイント引当金繰入 xx円 / ポイント引当金 xx円
ポイント引当金  x円 / ポイント引当金戻入 x円

こんな感じ。

さて。ポイントカードは

「消費者から対価を得ずに、基本的には景品・おまけとして無償で発行されているものと考えられます」(一般社団法人日本資金決済業協会|前払式支払手段についてよくあるご質問 より)

つまりプリペイドカードではない→半額の拠出金としてプールする必要無し。

ということは社員にボーナスとしてあげ放題ではないですか!なんてことはないですよね…浅はかでした。

一方Pontaカードでは、以前こんな事件があった。

「【ニュース事件】ローソン店員が客のPontaポイントを不正取得か?!」

ポイントカードを持っていないお客さんのときに、自分のカードを読み込ませてそのポイントをもらっていた店員がいたらしい。

よくこんなことを思いつくものだと、むしろ関心してしまう。
結局発覚して多くの店員が解雇されたそうだ。
それはそうだよね。同じカードの買い物が連続してたらシステムで一発でバレるでしょう。

やはり会計も業務も正直が一番のようで。

 

ボーナスをSuicaで?

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ボーナスの時期である。

かつてSuicaが世に出たとき
「これって社員のボーナスをSuica払いにすればJRは丸儲けじゃないか?」
などと妄想したことがある。

幸いなことに、給与は労働基準法に支払いの5原則

1.通貨
2.直接
3.毎月1回
4.一定期日
5,全額

があり、原則Suica払いは不可能となっている。

ところが賞与については少々事情が異なる。
「労働協約」で認められていれば現物支給が可能となる場合があるのだ。

突然Suica残高が増えていて
「あぁそれボーナスだから」
なんてことがあったら。あぁ恐ろしい。

もっともプリペイドカードで支払う側(この場合JR)にとっても負担が全く無いわけではなく、発行金額の半分以上をプールすることが決済法で定められている(資金決済法14条:発行保証金)。
ボーナスが50万円だったら25万円は発行保証金として供託する必要があるわけだ。
現金支出が半額で済むというメリットはありますが…。

さて。消費税が上がり世知辛さを実感させられる昨今。
ボーナスと縁の無い方々からすれば
「現物でもいいからボーナス欲しい!」
と思う方もおられるであろう。
私もその一人だ。

「.rich」ドメイン料金 1年で22万5千円也

ウェブサイトやメールアドレスの後ろについている.comや.jpなどのドメイン。そのドメインに新たな種類が追加された。

「.rich 」である。

年間の使用料金は22万5千円。

「.com」ドメインが千円~5千円であるのに対し挑戦的なこの価格。

格差社会を後押しするかのようである。

これを扱うドメイン提供会社「お名前ドットコム」によると

・高額なため悪質な登録者が現れにくく信頼性が高い
・リッチをアピールできる

などのメリットがあり、お金持ち向けサイト(?)での運用などが考えられる、とのこと。

こういったドメインが出てくるのは市場細分化が次のステージに入ったということであろうか。

「ターゲットマーケティング」と言う言葉がある。

どんな人に自分の商品やサービスを売るか?を決めることだ。
その際行うのが市場細分化である。

細分化には顧客を

・地理的要因(場所)
・統計的要因(年齢や性別、家族構成、職業、所得など)・
・心理的要因(消費者の価値観やライフスタイルなど)
・行動変数(頻繁に購入する層や、製品に非常に詳しい層、など)
などいくつかの基準で分類する。

この基準のうち「所得」での分類は、かつての日本ではあまり着目されていなかったように思う。

(だいぶ古いが)「一億総中流」という言葉があった。
皆が自分の家庭を「中くらい」の豊かさだと思っていた、ある意味幸せな時代であった。

「団地に住んでて『中流』なんてあるもんか。みんな貧乏人だよ」

そう言ったのは北野武である。
その後、それを裏付けるように自分の所属する階層を意識させられる時代がやってきた。
ぼやけていた日本の階層や格差がいくつかのキーワード

・セレブ(1990年頃より)
・シロガネーゼ(1998年頃 )
・B層(2005年 小泉政権郵政民営化の主な支持基盤として想定)

などによってだんだんはっきりしてきたのだ。

そして、いまや堂々と「リッチ」を謳うこのドメインの出現である。
今後普及していくのであろうか。

ところで頻繁にドメインの広告メールを送ってくれているお名前ドットコムさんだが、今回の「.rich」に限り案内が来ていない。
まぁ当然であろう。ちゃんと「市場細分化」していらっしゃるようだ。

ひねくれ者の私が取るとしたら…

richドメイン状況

いまのところまだ空いているようだ。

ブリック・アンド・モルタルにはかなうまい

実店舗を持っている店が、インターネット店舗でも販売を行う方法をクリック・アンド・モルタルと呼ぶ。
販路が広がること、商品の受け渡しを実店舗で行えるなどのメリットがある。
このクリック・アンド・モルタルという言葉は、ブリック・アンド・モルタル=「煉瓦とモルタルでできた建物」→「実在の店舗」をもじって作られたらしい。

さて、先日5月、クリック・アンド・モルタルの大御所が渋谷に店舗をオープンさせた。
楽天カフェである。

楽天市場で扱うスイーツは35万品。その中からカフェ側が試食し16品を選ぶ。売り込みは受け付けない。1日60食を試食することもあるそうだ。

では早速食べに…行く余裕はないのでとりあえずウェブサイトを見てみる。

楽天カフェメニュー

楽天カフェメニュー

おぉ…なんとも美味そうである。

「楽天市場で買う」ボタンをいくつかクリックしてみると…うん?なぜかちょっと購買意欲が下がったような…。

なぜだろう?

そうか。

楽天カフェの方がリアルなのだ。
楽天カフェは
1.まさにカフェのメニュー型式になっている。
2.皿に盛りつけされ、デコレーションされている。
結果「さぁなに食べようか!」と選んでいるような臨場感があり、距離感が近く感じられる。

一方リンク先の楽天ショップ側の商品紹介の多くは、
1.パッケージされた箱に入った商品
2.商品の拡大写真
が使われている。そのため、いかにも通信販売という印象が強くなる
(佐川急便のお兄さんが運んでくるシーンが容易に想象できる)。

せっかく楽天カフェで「食べたい!」と思っても、楽天ショップで突き放されたような感がするのだ。

なるほど。

ということは楽天ショップ側の商品紹介も同じような構成にすれば販売増が期待できる。
次回ショップサイト作るときは、デコレーションした写真を全面に、梱包写真をもう少し後方ページに追いやって…いやそんなことどうでもいい。まず食べに行こう。この美味そうなパイやタルトを。佐藤可士和氏監修の店舗も楽しみだ。
孤独のグルメ的報告はまた近日にでも。

 

アベノミクス2年の成果

10月後半。年末まで2ヶ月強あるにも関わらず焦りがでてくる時期である。
先日、酉の市の日程が告知された。同時に巫女さんの募集も掲載されている。
kokuchi(左は2012年10月、右は今年2014年10月)

以下拡大。
syousai
巫女さん達にアベノミクスは届かなかったようだ。
来年は改善することを祈るばかりである。

マーケティング用語としての「カニバリゼーション」

ヤッターペリカンなんて作ったからヤッターワンの出演回数が減っちゃったじゃないか!
カニバリズムというのはそういうことだ(この例で分かる方は相当少ないと思うが…)。

カニバリゼーションとは直訳すると「共食い」である。

これがマーケティング用語では
「自社の商品が自社の他の商品を侵食してしまう『共食い』現象のこと」
となる。
新商品の場合これを防ぐため
・既存とは異なるチャネルで展開する
・異なるターゲットを狙う
などの対策を行うのが一般的である。
要は似たような製品を売る場合は相手を考えましょう、ということだ。

昨今この「カニバリゼーション対策」に疑問符を投げかける経営者も多い。
最もわかりやすいのがApple社であろう。

「iPod TouchとiPhoneはカニバリゼーションを起こしているのではないか?」
という質問に対し、スティーブ・ジョブズは

「当社の製品と競合(カニバリゼーション)するのは当社の製品であったほうが良い。他社に競合を起こしてほしくはない」
と答えている。

後にiPadを発売したときも、Macが持っていた市場をiPadが侵食する事態が懸念された。だが実際に発売してみると、全体として100億ドル以上の売上をApple社にもたらした。

このことからApple社はカニバリゼーションを全く気にしていない、と言う人もいる。さらにはカニバリゼーションという考え方自体が古い、という意見もある。果たしてそうであろうか?

残念ながらそう単純では無さそうだ。

2013年Apple社は前年同期比から18%減と大幅減となった。
製品販売台数ではiPadが65%増であったにも関わらず、である。
この65%増の要因のほとんどはiPad miniによるものだ。
比較的高価格のiPad Retinaディスプレイモデルが売れず、安価なiPad miniが売れすぎた。このことが大幅減益の原因のひとつ、と言われている。

このことからもカニバリゼーションを軽視することは危険である、と言える。

さて。「カニバリゼーション」というこの言葉。連想されるのは「羊たちの沈黙」「ハンニバル」などの映画である。日常的にはほとんんど使わない言葉だ。くれぐれも、キーワードで画像検索などなさらぬよう。

あぁTechnics

教科書によると
「分割ファミリーブランドとは、似たような製品ラインをグループ化し複数のファミリーブランドを用いること」
だそうである 。事例として頻繁に挙げられているのがパナソニックだ。
曰く「パナソニック、ナショナル、テクニクスなど複数ブランドを用いていた」と。

ところが私は学生時代にマーケティング論の講義で
「松下は海外進出したときに、従来から使っていた National を使おうとした。だが既に使われていたため、Panasonicブランドを採用した」
と聞いた記憶がある。

推測だが、積極的に「分割ファミリーブランド」を選択したわけではなく、結果としてそうなった、ということなのではないだろうか。
また「テクニクス」はオーディオブランドである。むしろ個別ブランド戦略の一環といったほうが近い。
当時は他メーカーもオーディオブランドを採用していた。

オーレックス(東芝)
ローディー(日立製作所)
デンオン(コロムビア) などなど

松下が「テクニクス」というオーディオブランドを確立したのは、追随するチャレンジャー企業に対し同質化を狙ったのではないかと思う。

国内にパナソニックブランドが導入された頃、私もNationalではなく(少々高値の)Panasonicロゴを冠したビデオデッキを買ってしまった。海外ブランドのような雰囲気の漂うパナソニック。それは新鮮で格好いいブランドだった。

さてこの松下の複数ブランド戦略だがコスト管理問題の例として語られることも多い。
「松下はナショナル、パナソニック、テクニクスなど複数のブランドを持っていた。そのため、単一ブランドで事業展開するSONYと比べ費用面で不利であった」
と。なるほど。

個人的には愛着のあるオーディオブランドが無くなっていくのは誠に残念である。
ちなみに我が家のTechnicsチューナーはいまだ現役である。

Technics Synthesizer tuner

 

MBOとはなんぞや

企業に務めてた頃の話。

「S君。次回のボーナスの査定からMBOが導入されることになった」
「なんですか?それは?」

上司によると

  1. 会社の方針を理解する
  2. 方針に沿って各部門が目標を立てる(部門長が立案)
  3. その部門目標に沿った自分の目標を立てる
  4. 難易度と達成度で査定や昇給等が決まる

とのことであった。

だが私の属する間接部門は目標の設定自体が難しい。
やむなく「生産性の向上」をMBOとした。
これは会社が「組織MBO」と読んでいるもので、それとは別に「個人MBO」なるものも設定せよとの指示があった。個人MBOは組織目標とは関係なく自由に設定できる。なんでも良いらしい。

「本当になんでも良いんですか?」
「ああ」

かくして私の初めての個人MBOは
「腕立て伏せ50回できる体力をつける」
となった。なんともカスタマイズされたMBOである。
これに査定が左右されるのか。

そもそも、このMBOとはいったいなんの略なのであろうか。
正しくは、マネジメント・バイアウト…いや違ったマネジメント・バイ・オブジェクト、いやマネジメント・バイ・オブジェクティブ(目標管理)だそうだ。
メモしておこう。

Management Buyout (経営陣買収)
Management By Objective (目標管理)

とかくこの手の略語はややこしい。日本語だったら目標管理→目管、とか縮めてもなんとかなりそうだ。実際、経理(経営管理)とか、販管費(販売費及び一般管理費)とか、元の名前の影が薄くなってしまった略語もたくさんある。漢字のなんと素晴らしいことか。

さて。後に労働組合が実施したMBO説明会でも「MBOとはなんの略か?」と質問が出た。

「最も バカな 押し付け の略です」

組合側の意思が強く感じられる回答である。
このMBO。定着させるのは一筋縄では行かなかった。

VHD対レーザーディスク

もうひとつのデファクト・スタンダードの戦い。今やDVDもしくはブルーレイに置き換えられた、ビデオディスクの規格争い。VHD対レーザーディスクについて。

ご存知かと思うが、レーザーディスクは映画等の映像を見るためのものである。盤面素材はCDとほぼ同じ。オーディオのレコードぐらいのサイズ。レコード同様裏面があり、映画が途中で中断されるので手動でひっくり返す必要がある(後に自動再生のプレイヤーも発売されたが、映画が中断されることには変わりなかった)。

一方VHDはちょっと風変わりなモノだった。大きさこそレーザーディスクとほぼ同じサイズだったが、円盤はケースに入っており、直接見たり触ったりすることは無い。プレイヤーにケースを突き刺すと自動的に円盤が吸い取られる。見終わってケースを差し込むと円盤が戻される。

レーザーディスクはCDと同様レーザーで映像を読み取る。そのため直接接触しない、つまり摩耗劣化が無い。一方VHDは針(センサ)で接触するため摩耗する。ビデオのように、何回も見ると画質が落ちるのではないか?レコードのように傷ついてノイズが入ってしまうのではないか?そんな不安もあり購入する友人はいなかった。

そんなハード面の性能差もありレーザーディスクの勝利となる。
けれど最も大きかった要因はレーザーディスクプレイヤーがCDも再生できた点だろう。
・そろそろ映像が見れるプレイヤーが欲しい
・どうせならCDも再生できるものがいい
・その方が省スペースだし
そんな理由でレーザーディスクを買った人も多かったと思う。
もちろん「ネットワーク外部性」という要因もあっただろう。けれど、すでに確立していたCD規格に互換性があるプレイヤーだったことが徹底的だったと思う。

だが、その後まもなくDVDが発売され、レーザーディスクが一般家庭に普及することは無かった。

我が家のレーザーディスクプレイヤーも既に廃棄済み。「機動戦士ガンダム LDボックス」が押入で眠るのみである。

gundam

 

追記
当時パイオニアはこんなキャンペーンもやってました。
pioneerDVD