企業に務めてた頃の話。
「S君。次回のボーナスの査定からMBOが導入されることになった」
「なんですか?それは?」
上司によると
- 会社の方針を理解する
- 方針に沿って各部門が目標を立てる(部門長が立案)
- その部門目標に沿った自分の目標を立てる
- 難易度と達成度で査定や昇給等が決まる
とのことであった。
だが私の属する間接部門は目標の設定自体が難しい。
やむなく「生産性の向上」をMBOとした。
これは会社が「組織MBO」と読んでいるもので、それとは別に「個人MBO」なるものも設定せよとの指示があった。個人MBOは組織目標とは関係なく自由に設定できる。なんでも良いらしい。
「本当になんでも良いんですか?」
「ああ」
かくして私の初めての個人MBOは
「腕立て伏せ50回できる体力をつける」
となった。なんともカスタマイズされたMBOである。
これに査定が左右されるのか。
そもそも、このMBOとはいったいなんの略なのであろうか。
正しくは、マネジメント・バイアウト…いや違ったマネジメント・バイ・オブジェクト、いやマネジメント・バイ・オブジェクティブ(目標管理)だそうだ。
メモしておこう。
Management Buyout (経営陣買収)
Management By Objective (目標管理)
とかくこの手の略語はややこしい。日本語だったら目標管理→目管、とか縮めてもなんとかなりそうだ。実際、経理(経営管理)とか、販管費(販売費及び一般管理費)とか、元の名前の影が薄くなってしまった略語もたくさんある。漢字のなんと素晴らしいことか。
さて。後に労働組合が実施したMBO説明会でも「MBOとはなんの略か?」と質問が出た。
「最も バカな 押し付け の略です」
組合側の意思が強く感じられる回答である。
このMBO。定着させるのは一筋縄では行かなかった。