教科書によると
「分割ファミリーブランドとは、似たような製品ラインをグループ化し複数のファミリーブランドを用いること」
だそうである 。事例として頻繁に挙げられているのがパナソニックだ。
曰く「パナソニック、ナショナル、テクニクスなど複数ブランドを用いていた」と。
ところが私は学生時代にマーケティング論の講義で
「松下は海外進出したときに、従来から使っていた National を使おうとした。だが既に使われていたため、Panasonicブランドを採用した」
と聞いた記憶がある。
推測だが、積極的に「分割ファミリーブランド」を選択したわけではなく、結果としてそうなった、ということなのではないだろうか。
また「テクニクス」はオーディオブランドである。むしろ個別ブランド戦略の一環といったほうが近い。
当時は他メーカーもオーディオブランドを採用していた。
オーレックス(東芝)
ローディー(日立製作所)
デンオン(コロムビア) などなど
松下が「テクニクス」というオーディオブランドを確立したのは、追随するチャレンジャー企業に対し同質化を狙ったのではないかと思う。
国内にパナソニックブランドが導入された頃、私もNationalではなく(少々高値の)Panasonicロゴを冠したビデオデッキを買ってしまった。海外ブランドのような雰囲気の漂うパナソニック。それは新鮮で格好いいブランドだった。
さてこの松下の複数ブランド戦略だがコスト管理問題の例として語られることも多い。
「松下はナショナル、パナソニック、テクニクスなど複数のブランドを持っていた。そのため、単一ブランドで事業展開するSONYと比べ費用面で不利であった」
と。なるほど。
個人的には愛着のあるオーディオブランドが無くなっていくのは誠に残念である。
ちなみに我が家のTechnicsチューナーはいまだ現役である。