マーケティング用語としての「カニバリゼーション」

ヤッターペリカンなんて作ったからヤッターワンの出演回数が減っちゃったじゃないか!
カニバリズムというのはそういうことだ(この例で分かる方は相当少ないと思うが…)。

カニバリゼーションとは直訳すると「共食い」である。

これがマーケティング用語では
「自社の商品が自社の他の商品を侵食してしまう『共食い』現象のこと」
となる。
新商品の場合これを防ぐため
・既存とは異なるチャネルで展開する
・異なるターゲットを狙う
などの対策を行うのが一般的である。
要は似たような製品を売る場合は相手を考えましょう、ということだ。

昨今この「カニバリゼーション対策」に疑問符を投げかける経営者も多い。
最もわかりやすいのがApple社であろう。

「iPod TouchとiPhoneはカニバリゼーションを起こしているのではないか?」
という質問に対し、スティーブ・ジョブズは

「当社の製品と競合(カニバリゼーション)するのは当社の製品であったほうが良い。他社に競合を起こしてほしくはない」
と答えている。

後にiPadを発売したときも、Macが持っていた市場をiPadが侵食する事態が懸念された。だが実際に発売してみると、全体として100億ドル以上の売上をApple社にもたらした。

このことからApple社はカニバリゼーションを全く気にしていない、と言う人もいる。さらにはカニバリゼーションという考え方自体が古い、という意見もある。果たしてそうであろうか?

残念ながらそう単純では無さそうだ。

2013年Apple社は前年同期比から18%減と大幅減となった。
製品販売台数ではiPadが65%増であったにも関わらず、である。
この65%増の要因のほとんどはiPad miniによるものだ。
比較的高価格のiPad Retinaディスプレイモデルが売れず、安価なiPad miniが売れすぎた。このことが大幅減益の原因のひとつ、と言われている。

このことからもカニバリゼーションを軽視することは危険である、と言える。

さて。「カニバリゼーション」というこの言葉。連想されるのは「羊たちの沈黙」「ハンニバル」などの映画である。日常的にはほとんんど使わない言葉だ。くれぐれも、キーワードで画像検索などなさらぬよう。

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