2011年6月アーカイブ

kame.jpg「肉付きもいい。暴れる元気もある。特に異常は見当たらないんですがねぇ」
ウチのカメを手にしてのお医者さんの言葉だ。

ここレプタイルクリニックは爬虫類専門のペットクリニックである。爬虫類専門と言うと暗くて湿っぽい?場所をイメージされるかもしれないが、院内はいたって明るく先生もとても優しそうである。

ウチのカメの様子がおかしくなったのは数日前の朝だった。食べたごはんをもどしてしまったのだ。ごはん大好き17年のウチのカメにとって異常事態である。しかもその後ほとんど動かなくなってしまった。

「どんな様子です?」
「5日前からいっさいごはんを食べません。しかも普段なら餌の缶を見ただけで走ってくるのに反応しないんです。餌に興味を示さない。いつもだと足元にまとわりついてくるんですが、それもしない。僕たちのことを忘れてしまったような感じです。」

カメは一般の方々が考えている以上に賢く、人になつく生き物である。特に大きくなったカメは予想以上に面白い。餌の入っている戸棚を開けると、餌の時間?と勘違いして走ってきたり、食事の支度をしていると足をよじのぼってきたり。ともかく愛らしい生き物なのだ。

そんなウチのカメがごはんも食べず、フロアに出しても隅の方でうずくまるだけ。今のところ体力は落ちてないみたいだけど、さすがに5日もごはんを食べないと心配になる。

探したところ爬虫類の専門医は都内に数件。最も評判が良かったのがここレプタイルクリニックだった。院長先生は「カメの家庭の医学」を出版しているほどカメがご専門。院内もカメの写真でいっぱいである。

「それではまずレントゲンを撮って、念のためにエコーもやってみましょう。それでもわからない場合は血液検査となります。こちらでお待ちください」
レントゲン?エコー?血液検査?なんとも頼もしい。でもウチのカメはおとなしく検査を受けれるだろうか?

ドア越しに検査の様子をみてると、レントゲンはすんなり終了。二人の助手さんのカメの持ち方も相当手慣れている。先生は暴れるカメの脚をスパッとつかみ、速効でジェルを塗りエコーを撮る。思ったよりカメもおとなしい。

十分ぐらい後に先生がレントゲン写真を片手に診察室に戻ってきた。
「ここが肺でここが腸。大きな問題はないみたいですが、砂利のようなものが見えますねぇ」
「以前水槽に砂利を入れていた時期がありまして、餌といっしょに食べてしまうこともあったようです。でも相当前ですが・・・」
「そんな前の砂利が残っているのであれば腸の調子が悪いのかなぁ」

診断を聞きながら、カメを運んできた水槽を見ると中に何かが落ちている。?どうも道中でウンコをもらしてしまったらしい。生まれて初めての電車。びっくりして粗相してしまったようだ。ところがそのウンコが診断を決定づけた。
「でかい!」先生が唸る。
「こんなでかいウンコするんじゃ腸が悪いんでしょう。腸の動きをよくする注射を打ちましょう」
注射・・・。うーん頼もしい。カメをかかえ、素早く首の付け根あたりにブスッ。驚いたことにほとんど暴れない。さすが専門医。痛くない場所を熟知しているのであろうか。

全ての治療を終えたあと先生が今後の対策を教えてくれた。
「餌を食べるようになってもいきなりたくさんあげるのではなく少しずつ増やしてあげてください。野菜を少し多めに。それと外に出している時間が長いようですが本来ミドリガメは水棲ガメです。せいぜい30分程度に。水槽の水の量も少ないようです。最低でもこうらの倍くらいの高さに」

会計を済まし帰路に着く。やることはすべてやった。来る時より少し気分が楽になった。これでカメがごはんを食べてくれると良いのだけど・・・。

家につき早速アドバイス通りに水槽の水の量を増やしカメを入れてみる。
ガボッ、ガボッ。暴れる暴れる。さらに口から気泡が。どう見ても溺れているようにしか見えないのだが・・・。少し量を減らしたらどうにか落ち着く。水はおいおい増やしていけばいいだろう。それよりもごはんを食べさせるのが先決なんだけど・・・。

2日後の朝。いつものごはんを与えてみると、ガツガツと食べるではないか。外に出すと喜んでデンデンデンとリビングを走り回る。いつも通りのカメが戻ってきた。一安心である。後は少しずつごはんを増やせばよい。あぁよかった。嬉しいやらほっとするやらでどっと疲れがでた。

さらに数日後。食事量も以前と同様にもどり、苦手だったキャベツも食べるようになった。倍にした水の量にも慣れた。ようやく戻ってきた日常のなんとありがたいことか。


そうそう。
先生が教えてくれたおまけの一言。
「この子、女の子ですね」
えっ?17年間男の子と思って育ててきたのだが?うーん素人診断はやはりだめですねぇ。行くなら専門医。


今回の症状と対策を簡単に掲載しておきます(あくまで参考に。なにかあったらすぐお医者さん)。

◆ウチのカメ
ミドリガメ(ミシシッピーアカミミガメ)

◆病院
レプタイルクリニック
http://www.syonan-bird.com/repin.html
最寄り駅:JR 御茶ノ水

◆症状
食べたものをもどしてしまい、以降食欲無し。動作も少なめ。元気なし。大量の排便。

◆診断
・普段外に出ている時間が長い
・水槽の水量が少ない
・便が大きい
ことから、水分不足で便が溜まり気味になり体調不良となった可能性あり。
腸内に砂利が数粒残っていることが若干問題視されるが今回の症状との関連は無いと思われる。

◆当面の対応
1日おきに餌。急に増やさず、いつもの1/4、半分、7割と徐々に増やすこと。これを3日(都合6日間)程度つづけること。

◆菜食主義のすすめ
コロナを50%・25%をガマルス(カメ餌用乾燥エビ)・25%を野菜ぐらいの割合に。ガマルスは本来おやつ。少なめでよい。
野菜は冷蔵庫の中にあるもの適当でよいらしい。小松菜・リンゴなど。通常カメは子亀のうちは肉メインだが大きくなるにつれ70%菜食になるそうです。

◆外だし時間の短縮
外にいる時間が長すぎる。せいぜい30分程度。

◆水槽の水の増量
最低でもこうらの2倍程度は水を入れること。溺れてしまうという飼い主がいるが、首をのばせば十分外に届くので問題無し。現在、運動不足を外遊びで補っているようだが、倍量の水があれば上下の泳ぎができるのでの分運動にもなる。

◆移動手段
大きめのムシカゴにタオルを敷き詰め、カメを入れ(水は入れずペットボトルを持参)、さらにそれをクーラーバッグ(30L)に入れ電車で移動しました。乗車40分程度。振動で落ち着かないのか、中からごそごそ動く音が聞こえてきました。ムシカゴは透明なプラスチックなので、上から覗き込むことができてお勧めです。

◆費用
クリニックでの治療費10,500円。
当然ですがカメは健保が効かないので10割負担となります。レントゲン・エコー・注射が含まれること、適切な診断がいただけたことを考えれば決して高くはない、いや安いと感じました。
運搬用のムシカゴ(1000円強)+レジャー用クーラーバッグ(1600円程度)を地元スーパー(ダイシン最強)で調達。

◆関連
レプタイルクリニック
http://www.syonan-bird.com/repin.html



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