
彼女は仕事で疲れ果てていた。
そのせいか、いつもはもらわないチラシをつい受け取ってしまった。
受け取ったのは選挙ビラだった。
と、その時。一人の男が猛ダッシュで彼女の目前に現れ
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
と叫びながら、がっしりと両手を握りしめた。
この男こそチラシの主「フジタミン」こと藤田のりひこ氏である。
無断で私の身内の手を握るとはとんでもない男である。
以前から彼は印象に残っていた。ポスターが散歩道に何枚か貼ってあったのだ。キャッチフレーズも印象的であった。
「国に栄養」←いやいや日本は贅肉多すぎでしょう
とか、
「世界水準」←確かに。負債では
とか、
掛け合い漫才できそうで面白い。
だが最後に見かけたポスターはキャッチフレーズ無し。有名女性議員と一緒に写っているものだった。残念。
キャッチフレーズが気にいったとはいえ彼に投票するしないは全く別問題ではあるのだが。
一方彼女はフジタミン氏を気に入ってしまった。どうもスキンシップに弱いらしい。これから候補なさる方は積極的に有権者の手を握ることをおすすめ...しません。
さぁ開票だ。結果はどうなるであろうか。